以下の3回の八代尚宏氏へのインタビューを中心とした日経BPの6回連続の連載は面白かった。特に今の労働基準法が全く現実離れしていて、裁量労働制で働いているマスコミや大学教員らの働き方が違法行為を伴なってしまっていることを指摘している6回目は、ホワイトカラー・エグゼンプション脊髄反射で反対していた人々は必読。良識派ぶったマスコミ人が今の労働基準法を厳守せよというのなら、自分が勤める会社に労働基準法が指示するとおりの残業代を請求することから始めてみろと言いたい。記事に対してないものねだりを言うと、八代氏のことを財界の代弁者であると疑念をもっている人が多いので、彼と財界人の目指す方向との違いがあるのかどうかを問いただす質問があるとさらによかったと思う。

  • 非正規社員の増加は正規社員の雇用を守るため - ワークスタイル - nikkei BPnet

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/bigbang/070903_4th/

  • 解雇ルールを法制化した労働市場が必要 - ワークスタイル - nikkei BPnet

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/bigbang/070905_5th/

  • 労働ビッグバンは時間をかけてでも実現すべきだ - ワークスタイル - nikkei BPnet

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/bigbang/070907_6th/


以下、個人的に目に留まった発言。

確かに、どの労働者を対象とするかで、「労働者の利益の最大化」の意味は変わってきます。ビッグバン反対の3人の方々は、すでに雇われている方々の利益を考えておられる。一方、働きたいのに働けない人たちや、再就職を望んでいる人たちを含めた、労働者全体の利益のことを、私は考えています。

■「整理解雇の4要件」全部に反対なのですか?
八代 いいえ。解雇のルールを法制化するときには、「整理解雇の4要件」のうちの2つ、「(経営者による)人員整理の必要性の立証」と、「解雇回避努力義務の履行」は不要ですが、残りの2つ、「解雇される人の合理性の立証(差別的解雇などの禁止)」や、「労働組合との協議義務の履行」項目は、むしろ強化すべきだと考えています。

また、あまり報道されていませんが、ホワイトカラー・エグゼンプションの対象者には、集中的に働いた後には集中的に休むように、無条件に年間104日間の休暇取得を法律で義務づけることがセットになっています。
労働時間規制を外すには、健康管理に関する規制が必要だからです。現状の労働基準法では、労使協定を結び、残業代としての割増賃金さえ払えば、1年間で休日を一切とらなくても合法になってしまいます。これも基準法の不備ですね。
健康管理のための年間労働時間の総量規制という考え方が盛り込まれているため、ホワイトカラー・エグゼンプションは単なる人件費節約にはならない。