• 月刊誌紹介|生活経済政策研究所 2008年5月号(No.136)

http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/index.html

特集 生活保障システムとしての最低保障
逆機能する日本の生活保障システム/大沢真理
ミニマムの確定に向けて―生活保護基準をめぐる論点整理―/布川日佐史
貧困基準の検証と新しい所得保障制度/駒村康平
三層構造による社会的セーフティネットの再構築を―連合の提案―/小島 茂

気になる特集。月別に個別のパーマリンクもないようなので、とりあえずポスト。社会保障が逆機能に陥っていることは大勢の見方になっているとは思うものの、企業社会を前提とした社会保障ジェンダー・バイアスを残したまま逆機能に陥っているといった切り口のものが大半で、その企業の成長を促してきた補助金、租税特別措置、税額控除など、高度成長以後有効だった政策群が何重にも社会保障の逆機能を昂進させてきたといった視点のものは、勉強不足なのか、みかけない。 ふつうはそれらの政策のおかげで企業の成長を通して人々は豊かになりえたという見方になるのだが、それは主に特定の人々(常用雇用・世帯主・男性)の福祉を増進するものでしかなかったことが、もっと強調されるべきだと思う。終身雇用型の企業活動が優勢となり人々の生活を強く拘束した時代は、個々人が社会的な選択の機会を奪われ、関係性の貧困が拡大した時代でもあったと再定義できるはずだ。