http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/agenda.html
6月4日に開かれた経済財政諮問会議で、基本方針2007、いわゆる骨太の方針2007の素案が公表された。全体の基調にあるのは、メリハリという名の政策優先度の明確化。骨太の方針はあくまで政策群の提示にすぎないわけだが、確実に言えることは、年頭に当ブログが期待した労働ビッグバンと呼ぶに値する改革は消えてしまったということだ。当面、労働三法案の成立が困難になってしまった情勢からいっても、今年はビッグバンと呼べる成果は生まれず、改革の議論が緒についたという程度の年に終わってしまうようだ。労働市場改革専門調査会は、たしか3年のタームで検討が進められる予定なので、この調子だと、労働市場改革の実行、そして社会への浸透、となるといったいどれだけの時間がかかるのか、想像するだけでゲンナリする。


http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/item6.pdf
労働関連分野を拾うと、成長力加速プログラムの筆頭にあげられているのが、「ジョブ・カード」の創設(P7/57)、そして「福祉から雇用へ」5ヵ年計画の策定、最低賃金制度の充実。ワークライフバランスに関しては、憲章と行動指針を作りましょうという段階、再チャレンジ支援も(人生の)複線型社会の実現を謳っているものの、退職する団塊世代のことが年頭にあるようで、現役世代の職業選択の多様化をすすめる視点に乏しい。小手先だったり、抽象的なスローガンの策定に留まっていて、社会を根源的に変えるような議論になっていない。


http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/item9.pdf
4日に出された資料では「少子化対策について」がある。これでもワークライフバランスが取りあげられていて、ワークライフバランスは個々人の充実感への希求の声を背景に、実現が必然的に求められているのではなくて、少子化対策として要請されている。この資料は、各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2003年)、労働者の労働時間の国際比較が有益。


http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/interview.html
4日の大田経済財政担当大臣の会見では、記者の一人が、基本方針の素案の税制の項目について質問していて、民間議員の提出したペーパーの段階にあった「各種控除の見直し」と具体的に書かれていた項目が、「税制のあり方を検討」、と抽象的表現に後退した理由を問いただしている。これに対し大田大臣は、民間議員の諮問会議での提案が、各省での折衝、党の調整プロセスを経て決定される(表現が変えられたる)ことを答えている。今後、所得の「各種控除の見直し」は絶対に必要な改革だが、それに抵抗する勢力が存在し、しかも経済諮問会議の提言の表記を変えさせるほどの力があるのが垣間見える。保険業界を軸とする政官業のトライアングルが疑わしい。