福祉2.0

  • 妊娠の妻と2児殺害し飛び降り自殺か…生活苦、4人死亡 : YOMIURI ONLINE

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070720it11.htm
経済的に追いつめられての一家心中。最近、生活保護費の支給を拒否されての衰弱死のニュースもあったし、少し前には福祉の現状に対する抗議の焼身自殺もあった。こういったニュースを見るたびに、どうして日本には個人を救済する多様な制度、そしてそれを裏打ちする哲学が、ないのかと思う。 家を借りるには保証人が要る、金を借りるにも保証人がいる、新卒で就職するのにも保証人欄がある。自治体が貸し付ける福祉資金や、最後の頼みの綱の応急小口資金ですら、大部分が保証人が必要だ。一方で企業なり法人の枠組みに入れば、さまざまな助成金や税額控除の恩恵に与ることが可能だ。長い時間をかけて発達してきた業界団体が、公的に金を引き出すスキームを培っているからだ。例えば借金返済に苦しむ中小企業には、4年前に資金繰り円滑化借り換え保証制度が創設されていて、負担軽減がなされている。しかし個人が借金返済に苦しんでいても、公的に負担軽減してくれるスキームなどない。民間金融業者がおまとめローンという新商品を勧めてくる程度だ。 個を個であるがままに信用する考え方が弱い社会は、切り口をかえれば、個の創発を阻害する社会であって、不公正であるばかりでなく、時代の潮流からみても、望ましい社会ではない。