http://www.asahi.com/job/news/OSK200804250070.html

  • asahi.com:「こんな働かせ方、おかしいですから」涙の全面勝訴 - 関西から一部引用

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200804250108.html

一審判決の2カ月後、吉岡さんは、キヤノン偽装請負について衆院予算委員会で語った大野秀之さん(33)らとともに「偽装請負内部告発する非正規ネット」を旗揚げした。07年7月、国会議員らに同行してもらい、厚生労働省の高橋満・職業安定局長(当時)に面会した。
 高橋局長は「企業活動を支えるのは労働者であるわけで、企業も責任を感じてきているんだろうと思っている」と述べた。そこで吉岡さんは、地裁判決が厚労省より踏み込んだ見解を示したことに言及した。
 吉岡さんらは、労働者派遣法の定める1年の期限を超えて使われてきたのだから、定年まで勤められる正社員化が行われなければならないと考える。しかし、局長はそうではなかった。「できるだけ長期の雇用が望ましいが、(厚労省に)それを強制する権限はない」
 吉岡さんは社内でただ一人の「期間工」として5カ月、無意味としか思えない作業を強いられた末、愛着のある職場から追い出された。それを是正させることは不可能という見解だった。

派遣法の直接雇用の申し込み義務が形骸化しているなか、立法趣旨にそった判断がでた(偽装“請負”だ云々の用語上の差異は、こうしたフルタイムでの働き方を考えるとき、ほとんど意味がない)。当ブログから見れば、「望ましい」雇用形態があると考える厚労省のこの役人の発想がそもそもおかしいのだが、内部告発への制裁的な処遇と雇用の打ち切りをした外形的事実だけでもってしても、違法なことが行われたと考えるべき事例だ。派遣は低い処遇で働くリスクをおかし、企業にその分のメリットを提供している。

であるならば、企業も長期で雇い入れるリスクを負担すべきだろう。企業に一定期間後に課す義務を直接雇用の申し込み義務でなく、直接雇用の義務にしてしまえば、かなり状況は変わるはずだ。そして直接雇用も期間別に分かれている場合、一定期間後に、より長期の雇用契約を課するのはどうか。そうすれば企業の雇用管理は相当変わる。非常用雇用者に一方的にリスクが押しつけられている現状は、期間の定めのない雇用を「望ましい雇用」と考えている発想の裏返しでもある。その意味では、今後彼が期間の定めなき雇用を得たとしても、それで済まされるべき問題でもない。