正規雇用化に助成金

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008022101000600.html

 厚生労働省はパートや契約社員期間工を正社員として採用した中小企業に対し、奨励金を出す新制度を4月をめどにスタートさせる。企業は人件費削減のためパートなど賃金の安い非正規雇用の割合を高めている。厚労省は資金力の弱い中小企業への支援で、所得格差の是正と雇用の安定化を後押しする。
 新制度は、従業員300人以下の中小企業が対象。パート労働者ら期間を決めて雇用される有期契約労働者を正社員に登用する制度を就業規則で定めた上で、同制度を使って正社員化を実現すれば、企業にまず35万円を支給する。
 登用制度を定めてから3年以内に3人以上を正社員にする場合は、35万円の支給に加え、10人を上限に1人当たり10万円を払う。母子家庭の母親なら、奨励金は15万円にアップする。
 政府は2008年度当初予算案で新制度に約4億9000万円を盛り込み、4400人程度の正社員化支援を見込んでいる。派遣労働者は派遣会社と雇用契約を結んでいるため対象にはならない。
(共同)

新たな雇用(仕事)が創出されるようだ。お役人のための。この政策は、対象となりそうな業界を推測すれば、メディアが煽った偽装請負叩きの副産物だと思われる。結局は正規・非正規間の格差の解消に、焼け石に水どころか、市場を歪め、格差を発生させる構造を温存するだけに終わる。否、終わらない。めざとく新たな仕事(利権)が開拓できたのだから。事業所に金を注入する政策を格差是正と称する役所と、それを垂れ流す報道にただ天をあおぐしかない。この政策は正規雇用と非正規雇用の間に制度的格差があることを、はからずも暴露している。それを解消する政策を立案し、金を投じるのが、筋ではないか。正規雇用を局所的に実現してなんの意味があるのか。

それにしても、いったい誰がこんな政策を発想するのだろう。元請け企業からの持込みだろうか。いったいこの手の政策はいくつあるのだろう。政策の執行責任をなんらかのかたちで官僚に問える制度にしないと、少なくとも政策立案者や執行責任者を外部からトレースできる制度にしないと、官僚が真剣に国民のことを考えて仕事をする状況にならない。役所自体の雇用制度改革がないと無理なのだろうが。