労働政策研究・研修機構廃止の方向

  • 2独法廃止・民営化3・統合方針11 行革相「見直し全力で」(産経新聞) - Yahoo!ニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070927-00000068-san-pol

 政府は26日、独立行政法人(独法)を整理合理化する一環として、科学技術振興機構(所管・文部科学省)、労働政策研究・研修機構厚生労働省)を廃止し、日本貿易保険経済産業省)や造幣局財務省)、国立印刷局(同)を民営化する検討に入った。主要事業が類似している11法人も統合する方針。整理合理化対象の独法の選定をさらに進めていく。
 廃止対象とした2法人は、国からの財政支援が予算全体の9割を超えているにもかかわらず、給与水準が国家公務員よりも高く「存続させる意味がない」(政府関係者)と指摘されていた。
(途中省略)
 現在101ある独法のうち、93法人が国から補助金などの名目で年間計3兆5000億円の支援を受けている。歳出削減に取り組んでいる政府は、8月に「真に不可欠な独法以外は廃止する」との基本方針を閣議決定した。しかし、独法が官僚の主要な天下り先になっていることもあり、8月末に省庁側が提出した独自の整理合理化案は、事実上の「ゼロ回答」で、官僚側の抵抗ぶりが浮き彫りにされた。
 渡辺喜美行革担当相は、政府の「行政減量・効率化有識者会議」の主導で改革を進めるとして、26日から所管府省のヒアリングを始めた。渡辺氏は会議の冒頭、「(省庁側の回答の)内容は極めて不十分だ。図らずも再任された以上、独法見直しに全力で取り組む。納得がいかない場合は何度も呼び出すつもりだ」と、12月の整理合理化計画の策定に向け強い決意を示した。


このニュースに対するはてブの反応をみると、廃止の候補として名指しされた2法人のうち、科学技術振興機構JST)には惜しむ声があがっているものの、労働政策研究・研修機構(JILPT)にふれているものはないようだ。真に労働者のための事業をやっていたなら、研究だけでなく研修事業などで多くの企業関係者とも接触があるはずだから、すぐさま廃止を惜しむ声があがるところだろうが、とりたてて惜しむ声もみあたらない。考えてみれば、労働関係の統計作成や政策提言は、内閣府厚労省、アカデミズムにおいて為されていることであり、労組系はじめシンクタンクもたくさんある。厚労省キャリアの天下り先としてて既得権化しているのは間違いなく、人材も官庁やアカデミズムから出向などで還流している者がいて、成果物も外部への依頼など多い。この組織の生態については、出身者の現ジャーナリスト・若林亜紀氏の『ホージンノススメ』(朝日新聞社)が詳しい。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/old/minutes/wg/2006/1011/item_061011_10.pdf

去年作られたこちらの資料によれば、平成18年度で予算は、運営費交付金・施設整備費補助金をあわせて、34億3500万円、職員は役員・常勤職員合わせて140人、これにプラスして、若林氏の本に書かれていたように(仕事もまるでなさそうな)非常勤職員がそこそこの数いるはずだ。このヒアリングにおいて厚労省は、労働政策研究・研修機構の必要性を、労使から利害関係を離れた立場から調査・研究・政策立案することで公正性・中立性がたもたれるからとしている。 たしかに今の時代ほど公労使の三者の関係から言えば、労使の立場を離れた「公」の視点の政策が必要とされている時代はないけれど、そういう価値自由な立場からの政策提言は、本来、社会全体の中ではアカデミズムに期待されているものだ。今後の帰趨を決める行政減量・効率化有識者会議のサイトは以下。独法改革といえば、経済財政諮問会議でも関連するWGが動きはじめていて、連携が気になるところ。

  • 行政減量・効率化有識者会議トップページ

http://www.gyoukaku.go.jp/genryoukourituka/index.html

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/assetsreform/independent/01/agenda.html