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 安倍首相の変身はこれだけではない。「美しい国」や「戦後レジーム(体制)からの脱却」という言葉が、参院選投開票日の7月29日以来、ほとんど聞かれなくなり、「新しい国づくり」がそれに取って代わったのだ

選挙後、安倍首相の語る言葉に変化がみられるという。前から安倍首相の言い出した「美しい国」は気になっていて、こういった曖昧で、倫理性を仮託するようなスローガンを国家の指導者が掲げるのは、グローバル化が進展し、ロールモデルなき状況に突入した先進国では共通の傾向になっているんじゃないかと想像したことがあった。(過去にエントリーも書いた)所得倍増や列島改造、さらには聖域なき構造改革といった具体的メッセージとは違う何かを、国民は国家に期待するようになっている気がする。 最近、ピーター・タスカとビル・エモット両氏の『日本の選択』を読んでいると、97年にブレアが英国首相に就任したとき掲げたスローガンが、「クール・ブリタニア」だったという話が出てきた。当初国民からの評判は悪かったそうだが、エモット氏は、理解されるには機が熟していなかったからだと、積極的に評価していた。「クール」という形容を国家にあてはめ、目指すべき指針とするのは危うく、そして面白い。 「美しい」や「クール」といった形容には、何かの選択を迫るチカラがあるような気がする。なぜか「新しい国づくり」では、何かを切り分け、前進するようなイメージがわかない。個人的に自分の体得している語感が変わっているだけかもしれないが不思議だ。今後、各国政権のスローガンを意識してみていくようにしたい。