中央官庁の非正規職員

行政の中心、中央官庁で、正規・非正規職員の異常な格差が放置されている実態が、公務員の非正規職員を中心とした労組による調査で明らかになった。官庁であっても非正規職員が多数働いており、しかも正規職員の身内らがコネで採用されているというのは、以前からまことしやかに語られてきたが、その内実はよくわからないままだった。官庁も民間企業と同様、非正規職は、結婚前の女性や職員の妻子が働いていたと思われるが、バブル崩壊以降は、そういった人材供給だけでは済ませられない職場になっていると想像される。 そういった職員は非正規雇用であるうえに、任用上は公務員であるため、労働基準法労働組合法も適用されず、労働法番外地におかれたまま働くしかない。 最近官庁のアルバイト募集情報がHPでも見られるようになってきたが、あまりの低待遇に驚かされることがある。よく見かけるのが、正規職員産休につき臨時職員募集、という広告だが、正規職員が有給の産休をとっている一方で、臨時職員は、1年の期間限定、日給7000円程度の労働条件で働かされている。逆に言えば、その対価で済ませられる程度の仕事をしている人間を、正規職としてなら、何倍ものコストをかけて雇っていることになる。公務員の非正規職という二重の意味で過酷な労働条件におかれている人々の一端がようやく明るみになった。 ところで、下記記事の見出しは、なぜか「4人に1人」となっている。数字を読めばわかることだが、3人に1人が非正規職員だと理解できる見出しにすべきだろう。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070718k0000m040041000c.html

 東京・霞が関の中央省庁で非常勤の公務員として働く人が1万3143人いることが、国家公務員一般労働組合(山瀬徳行委員長)の調査で分かった。非常勤公務員は形式上一日ずつ雇用契約を更新する「日々雇い」と呼ばれ、雇用の不安定さが問題視されている。中央省庁の公務員数は約4万人で、4人に1人は非常勤が占めることになる。
 調査は、同労組に加入する組合員から「2年働いているのに有給休暇がない」など労働条件に関する相談があったことから実施した。その結果、短期間の雇用契約を繰り返しながらも、常勤の公務員とほとんど同じ仕事をする人が増えていることなどが分かった。
 中には雇用期間が6カ月超えると与えられる有給休暇を与えないために、6カ月直前にいったん解雇してまた雇う脱法行為をしている官庁もあった。同労組は「同一労働同一賃金の原則に立ち、日雇い扱いをやめ、諸手当や休暇を与えるべきだ」と訴えている。【東海林智】

http://www.kokko-net.org/kokkoippan/
国公一般は、東京・霞が関で働く国家公務員や非常勤職員、派遣労働者で組織する労組。

  • がぶり寄り

http://kokkoippan.cocolog-nifty.com/
上記組合書記によるブログ。上記記事は労組による発表の要約で元資料が公開されている。
http://kokkoippan.cocolog-nifty.com/gappuri/2007/07/post_e0e0.html

これまで霞が関・中央省庁で働く非常勤職員の労働条件は、各省庁各部局の裁量で個別バラバラに決められてきた。同時にそれは、採用された非常勤職員に対して文書で明示されることもほとんどなかった。よって、その全容は深い闇のなかにあった。しかし、このたび労働組合と多くの協力者との合同調査によって、労働基準法で書面での明示が義務づけられている「労働条件通知書」(第15条)なみの内容を初めて公表することができたことは、大きな意義がある。


ところで最近、非正規職員の存在がモラルハザードを起こすかのように印象づける見出しをつけた報道があった。記事中、元職員による証言が出てくるが、社保庁現役職員の職場維持の意向に沿ったリーク報道ではないのかという気がする。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000003-mai-pol

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070715ddm041040109000c.html

  • 朝日、「時短勤務制度」、8月からスタート (文化通信、7月17日、3706号)

http://www.bunkanews.jp/headline/?id=newsline
朝日が短時間正社員を導入するのかもしれない。新聞は稼働時間の少ない部門のある業界だ。