ジャーナリスト・烏賀陽弘道氏がオリコン個人提訴裁判の不当性を訴えるビデオをYouTubeにアップしている。活字が主戦場の烏賀陽氏にとって、降ってわいたような裁判がなければ、こういう情報発信に取り組むことは、とりあえずはなかったはずだ。自らの主張の正当性については、法廷で明らかにするとして、情報発信をほとんどしようとしないオリコンの姿勢は、名誉毀損の立証責任が被告側に一方的に課される日本の訴訟慣行があるからこそ、とっていられる姿勢だ。しかし、そのような日本の訴訟慣行は、法律で決められているわけではなく、過去に最高裁が打ち出した、日本に特異な慣行にすぎない。一般的に他国では、名誉毀損訴訟の訴訟構造が真逆であって、立証責任が訴えた側に課される。日本でも立証責任を原告に課す方向の導入が検討されるべきだろう。今回の裁判では、そういった日本の名誉毀損裁判の特異性の問題も、少しでも認知されるとよいなと思う。