情報集約型の出版物が消えて行く

2月に入り、生活情報センターという出版社が倒産してしまった。官庁やシンクタンク、企業による統計や調査、アンケートなどをまとめた大型本を出版していて、書きもののときや情報提供するときに重宝した。このタイプの大型本を、この出版社は最近各年で発行しようとしていて、総務省の統計データポータルサイトができた時期とも重なっていたので、採算はとれているのだろうか、と疑問に思ったこともあった。自分が目にした範囲では、けっこう資料としていい本もあったけれど、市場でさばけるタイプの本ではなかった。図書館売り程度しか出来ず、行き詰ったのかもしれない。

企業倒産のウラには何があるかわからないので理由は特定できない。でも、いい本をつくっても利益が出ない時代の流れはある。特に調査や研究をまとめた本は、手間がかからないようでいて、見せるためには統一感ある編集をしないといけないし、そこが一番の付加価値なのに、その価値が認められにくい。情報源への支払いのコストも、流通経路に乗せるコストもかかる。情報を二次利用するタイプの出版社はこれからどんどん淘汰されそうだ。こんなことなら、官庁の外郭団体として、情報を二次利用した報告書を印刷しているだけの公益法人とかは、もっと淘汰されていい。そういうところのブツははなから編集を放棄している出版物も多い。まともな出版社が浮かばれない。

■統計データ・ポータルサイト
http://portal.stat.go.jp/