政治団体をめぐる備忘録

選挙も近づき、最近、政治とカネをめぐるニュースが増えてきた。かつて政治家の政治資金の状況を調べたときに考えた、政治団体にまつわるよしなしごとをメモしておきたい。政治資金収支報告書総務省のサイトで見れる。OCRデータでも検索可能にすることはできるはずだから、なぜ不便なサイトにとどまっているのか、いつも疑問に思うが、一応公開が始まっている。

政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書公開(総務省
http://www.seijishikin.soumu.go.jp/


しかし政治のカネの流れはここでは詳しくはわからない。これは総務大臣に提出された分だけであり、政治資金収支報告書には各都道府県の選挙管理委員会に届けられるものもあるからだ。都道府県の選挙管理委員会に届けられているもののほうが、各国会議員へのカネの流れを追うのに適している。これら報告書を提出しなければならない政治団体というのは、政治資金規正法6条(政治団体の届出等)によって、分類がある。この分類にのっとって、12条(報告書の提出) を履行することになる。各選挙管理委員会に届けられた報告書は足を運んで見るしかない。これもインターネット公開されるのが望ましいが、実際に書類を見た経験からすると、相当な事務負担になるのは確かだとは思う。

政治資金規正法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO194.html


政治団体というのは、先の政治資金規正法6条によるとおおむね3類型に分けられる。

○政党および政治資金団体→(都道府県の選挙管理委員会を経て)総務大臣に届出
都道府県の区域をまたぎ活動する政治団体→(都道府県の選挙管理委員会を経て)総務大臣に届出
都道府県の区域を主たる活動領域とする政治団体都道府県の選挙管理委員会に届出


まずは全国区や地域横断的に活動する政治団体が存在する。政党が第一にこれにあたる。そしてその政党に資金上の援助をする目的で設立され、政治献金の受け皿となるのが政治資金団体。これらは総務大臣に届けられる。政治家の多くは政党人であって、各地区の政党支部長などを兼務している人が多い。地域ごとに政治団体をつくり、そこも資金の受け皿となっている。比例区の場合、それぞれの区割りに応じて政治団体があったりする。これらは総務大臣に届けられる。

また議員はよく個人商店だと言われるように、個人への政治献金の受け皿となる資金管理団体をもっている。それはたいてい地域に根ざしているので、選挙管理委員会に届けられる。その政治家個人を支援する後援会タイプの政治団体が、地域に根ざすものから、都道府県をまたぐものまでさまざまに存在する。これらは政治家が実質的に支配しているのか、部外者による純粋な支援団体なのか、外部からはわからない。支援する政治家の名前を冠したり、地域の名前を冠したり、職能団体の名前を冠したり、特定の政策を冠したり、とにかくさまざまな政治団体が、存在する。これらは活動領域に応じて、総務大臣に届けられたり、選挙管理委員会に届けられたりする。


まとめると、政治団体は、先の活動領域に着目した分類とは別に、機能面を重視すれば以下のような5類型にも分類できる。一応分類してはみたが、議員が政党支部長を兼ねることも多いし、政党支援する政治団体が、党本部でなく、支部や議員個人に献金したり、重なり合いながら活動している。政党助成金は、各党の政治資金団体に交付されると、地区ごとの政党支部の団体に配布され、各議員の資金管理団体にも配布される。それらは別団体だが、実質的には同じ一人の議員が資金を差配することになることがほとんどだろう。

政治団体に関して、現状のネットでの公開レベルでは、政治資金の詳細な流れを知るには限界があり、政党助成金制度の説明責任が果たされているとは言えない。少なくとも議員個人の資金管理団体と、支援する政治団体は、議員の名前と関連付けるのを義務化し、それらの関係の「見える化」ぐらいははかるべきだろう。


○政党本部――政治資金団体(一政党に一団体)
○政党支部(選挙区単位や地区単位のもの、各議院比例区単位のもの)
○国会議員(もしくは候補者)――資金管理団体(一人に一団体)
○各政党を支援する政治団体 
○各議員(もしくは候補者)を支援する政治団体


追記:(政治資金関係資料):選挙制度改革(総務省
http://www.soumu.go.jp/senkyo/