隠れた予算、特別会計(1)

(1月20日のつづき)「大きな政府小さな政府」論で忘れていけないのが、隠れた予算、特別会計の存在。国の予算には、一般会計予算以外に、特別会計予算と、政府関係機関予算がある。一般会計は以前みたように、社会保障、公共事業、防衛などの国の基本的な歳入・歳出を管理している会計。特別会計は、その非効率性がようやく改革の課題として議論になるようになり、財務省は去年、下記サイトに特別会計の現状をまとめた。


特別会計のはなし(目次)(財務省
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/tokkai1804.htm


特別会計は、国が特定の事業を行う場合や特定の目的で資金を運用する場合の領域の予算。2005年段階、厚生保険特別会計国民年金特別会計、道路整備特別会計などの事業別や資産運用目的別に応じ、31の特別会計が存在している。今後、行革推進法によって廃止・統合が進められ、17に整理される予定になっている。政府関係機関予算は、特別法によって設立された機関で、予算を国会に提出して議決を経なければならない機関の予算。住宅金融公庫日本政策投資銀行など、現在再編が議論されている政府系金融機関、九機関の予算があたる。


一般会計からは見えない、特別会計の予算は膨大なものになっており、赤字を垂れ流し、財政危機を招いていると言われる。塩川正十郎氏は財務大臣当時、特別会計を指して「母屋でおかゆを食って辛抱しているのに、離れで子どもがすき焼きを食っている」と表現した。さて、特別会計を下記、財務省のグラフなども参照しながら整理してみる。下記サイトのグラフは、平成18年度予算の歳出の局面を記述したものである。


■平成18年度国庫(一般会計・特別会計)予算の概要(純計)
http://www.mof.go.jp/zaisei/junkei_graph.pdf


平成18年度、一般歳出は79.7兆円、一般歳出順計が33.4兆円特別会計繰り入れが46.3兆円となっている。しばしば使い道の4割はみえるが、残り6割は特別会計に入って見えない、などと批判されるのがこれだ。例えば特別会計予算が注入されている旧特殊法人は、もっと情報公開をせよ、と報道で報じられる。なぜ公開されないかといえば、公団等その他特別の法律によって設立された法人の予算は、各主務大臣の認可を受けるだけで、国会の議決は必要ない、とされているからだ。税金が投じられているのに、情報公開の対象に限界があるわけだ。


特別会計の予算は重複し合っており、上記グラフ平成18年度の場合、特別会計の歳出順計は225.3兆円となっている。その歳出の内訳は、債務償還・利払い費等が116.7兆円で規模がおおきい。以下、地方交付税・地方特例交付金等19.2兆円、財政投融資資金への繰り入れ27.2兆円、年金給付費・健康保険給付費49.9兆円、のこりその他が12.3兆円となっている。つまり、一般会計と特別会計を足した歳出の予算規模は、258.7兆円で、新聞などで予算案が出てきたときに報じられる約80兆円の円グラフとは、だいぶイメージが違う。この約260兆円が日本の中央政府の予算規模なのだ。